●「『かの子繚乱』その後」に見る谷崎潤一郎
瀬戸内晴美の「『かの子繚乱』その後」(冬樹社)について再度書きます。
岡本かの子の作家人生の手ほどきは兄の影響によるものが大きかったことが、この本からわかりました。その前作である「かの子繚乱」は岡本かの子の波乱にとんだ一生を、かの子を中心に追った優れた評伝小説でした。瀬戸内は「田村俊子」で文名をあげ、そして「かの子繚乱」で決定打ともいえる作家として不動の地位を築いたといっていいでしょう。そんな瀬戸内がその続編とでもいうべき岡本かの子にこだわったのは、もっと突き詰めて岡本かの子の生涯をたどってみたいという欲求があったからでしょう。
岡本かの子の兄は秀才でしたその学校時代の友人に谷崎潤一郎がいました、谷崎は東京帝国大学出身ですが、その学業についてはあまり語られていません。兄が高等学校時代、学校中で秀才の誉れ高かった人物が谷崎でした、特に数学の成績は抜群であったとこの評伝で書かれています、谷崎は岡本家に遊びに来て、色々と兄の相談事などを聴いていたといいます。かの子とはあまり話さなかったのです。というのはかの子は女性にしては破天荒な性格で、とてもつきあいきれないと感じたのでしょう。この本は「かの子繚乱」で語りえなかった仮名のが実名で再度登場したりして、かの子の人生に影響を与えた人物の描写がすぐれたものとなってました。
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